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真辺 健太郎
保健物理, 52(1), p.35 - 38, 2017/03
平成28年11月2日に大阪科学技術センターで「保物セミナー2016」が開催され、150名の参加があった。今回のセミナーは、「防護量と実用量 最新の動向」、「福島から考えるこれからのリスクコミュニケーション」及び「低線量放射線のヒトへの影響」の3つのテーマで構成されていた。各テーマでは、その分野の著名な専門家により、最新の動向や問題解決に向けた提案等の講演があった。他に、原子力規制庁の専門官による「放射線障害防止法関係の最近の動向」と題する特別講演があり、最近のトラブル事象や立入検査の実施状況、IAEAの総合的規制評価サービスを受け入れた結果等が紹介された。セミナーでは、各講演に対して、現在あるいは今後に想定される課題について参加者より質疑があり、その解決策等に関する議論も展開された。本稿は、セミナーでの講演や議論の概要、各テーマ等に関する著者の所感を取りまとめたものである。
高橋 史明; 真辺 健太郎
no journal, ,
国内の放射線規制へ国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告を取り入れた場合、被ばく線量評価に係る規制基準値も改正される。そこで、規制基準値の改正における論点の整理等を目的として、2007年勧告に準拠する被ばく線量評価データ等の調査を進めた。線量限度を定める実効線量等の定義に関して、2007年勧告は1990年勧告の内容をほぼ踏襲している。一方、2007年勧告に準拠する外部被ばく線量評価に用いる実効線量への換算係数は、現行の法令等よりも放射線種やエネルギーを拡張して整備された。また、職業被ばくに伴う内部被ばく線量評価に必要な新しい実効線量係数が与えられているが、ここで考慮されている放射性同位元素の種類は最新の知見に基づいて見直された。これらのデータは被ばく線量評価に係る規制基準値の改正で参照されるが、放射線施設等における被ばく状況を鑑みた採否の検討が必要不可欠となるであろう。また、2007年勧告に置き換わる次期主勧告の策定へ向けて、組織反応の防止に係る諸量の見直し等が示唆されており、放射線規制への将来的な取入れを想定した検討や対応を進めることは有益になると考えられる。